2019.06.27
季節の食卓
ふるさとレシピ 第8回『ゴーヤチャンプルー』

日本の北から南まで、様々な郷土の魅力を味わう『ふるさとレシピ』。今回は沖縄県・知念さんちの「ゴーヤチャンプルー」をいただきました。
食事は「ぬちぐすい(命の薬)」
琉球王朝の時代から中国の影響を受けてきた沖縄には医食同源という考えがあり、食事を「ぬちぐすい(命の薬)」と呼ぶ文化があります。
毎日の食卓が健康を育むことを知念徳子(ちねんのりこ)さんはよくご存じ。
「切ったゴーヤを水にさらさないのがポイント。ゴーヤの栄養を洗い流さず食べてもらいたいですからね」
切ったばかりのゴーヤをいただくと、しゃっきりとした歯ごたえに甘みを感じた後、口に拡がる辛みに近いような鮮烈な苦み。これぞ夏野菜の醍醐味ですが、子どもは確かに苦手かも。
しかし徳子さんの娘さんたちはゴーヤをよく食べるようで、特に「ママのゴーヤチャンプルーが一番美味しい!」のだとか。
そのコツは野菜にしっかり火を通すことだそうで、知念家ではお肉よりも野菜が先。だし粉とだし汁を加えて、火を通していきます。
ゴーヤの色が変わったら、お豆腐を入れ、続いて加えたお肉を蒸し焼きに。仕上げにおみそを和えて、玉子でとじたら完成!
可愛らしい食卓に、ゴーヤ尽くしのごちそうが並びます。

「島国である沖縄は、様々な国の影響を受けたチャンプルー(沖縄方言で混ざる)文化」なのだとか。徳子さんの家庭でも、様々な献立が並ぶそう。
娘たちの離乳食に加えた思い出のゴーヤ
「いただきます」と手を合わせ、ゴーヤを口に含むと、あら?あの苦みはどこへ行ってしまったのでしょう。さっくりとした歯触りで素直な味、苦みの面影は感じますが、これはもうアクセント。ごはんに乗せるとちょっとした丼ものみたいにスイスイ食べられます。
「うん、あっさりしてていい味!」と、私の隣で召し上がるのはご友人である知念章子(ちねんあきこ)さん。息子の佳和(かず)くんは離乳食の真っ盛り。おいしそうに食べるお母さんの様子に興味があるようです。
「もしかしたら、食べられるかな?」と章子さんが箸を近づけると、ぱくり!つぶらな瞳をぱちぱちさせながら、お母さんに箸を運ばれるまま小皿1皿分を完食!
「甘いものばかり食べさせると、苦いものをより苦く感じてしまうようになるんです。ゴーヤは、3人の娘たちの離乳食に加えた思い出の野菜です」
徳子さんは子どもの頃、薬を受けつけない体質だったと言います。
ご自身の苦労もあり、子どもたちが健やかに育つよう、アレンジを重ねてできたのが今のゴーヤチャンプルーなのだそうです。
太陽を浴びたゴーヤのチャンプルー(沖縄の言葉で混ぜる)は沖縄の文化とお母さんの愛情がしっかり合わさった、あったかい味でした。

シンプルなレシピに、知念さんならではの隠し味。あとは、たっぷりの愛情をこめて。本場ご家庭のレシピをぜひご自宅で。
作ろう♪ ゴーヤチャンプルー
1歳児の佳和くんも太鼓判の優しい味わいのゴーヤチャンプルー。よく火の通った野菜の甘みが楽しめ、蒸し焼きにされたお肉はふっくらでジューシー!
ヘルシーで家族みんなに食べさせたい、お母さんの愛情いっぱいの夏メニューです。
[材料(5人分)]
ゴーヤ 1本
玉ねぎ 1個
木綿とうふ 半丁
玉子 3個
豚ロース肉薄切り 400g
だし汁、または水 200㎖
鰹節の粉 大さじ2
干ししいたけの粉 大さじ2
みそ 大さじ2
しょうゆ 大さじ2
※鰹節と干ししいたけはミキサーで粉末にするそうですが、ミキサーがない場合はすり鉢でするか、濃いめにだしを引くと良いとのこと。
[作り方]
① ゴーヤは種とワタを取り除き、4〜5㎜程度の薄切りに(家族にゴーヤの栄養をしっかり食べてもらいたいから、水にはさらしません)、玉ねぎはくし切りにする。
② 中火にかけたフライパンに油を敷き(分量外)、①とみそ以外の調味料を入れ、しんなりするまで炒める。
③ ②にだし汁、または水を注ぎ、ふたをし、7分ほど蒸す。
④ とうふを手の平の上でさいの目に切り、加えて軽く混ぜ、具材の上に一口大に切り分けた豚ロース肉を乗せてふたをし、肉の色が変わるまで蒸す。
⑤ ふたを開け、みそを入れて混ぜ、溶き玉子を加えてふたをし、火を落とす。玉子が余熱でふんわり仕上がったら完成。
★知念さんのポイント
ゴーヤや玉ねぎにしっかり火を通すと、子どもの苦手な辛み・苦みが抜けますよ!
<2018年 夏号 Vol.41 13-16ページ掲載>