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気持ちほっこりほんのり「方言」

方言ひとつで温かい気持ちになったり、懐かしい気持ちがこみ上げてくるのは、なぜなのでしょうか。

方言への注目度が高まっている?

近年、流行語大賞のひとつに選ばれた「じぇじぇじぇ」。NHK人気ドラマ『あまちゃん』の中で多用されたこの言葉は、岩手県の三陸地方で使われている、驚いたり戸惑ったりしたときに発する方言です。

周囲に目を向けてみると、方言がいろいろな場面で注目を集めていることに気づかされます。

たとえば、携帯電話で、「朝やで? よう寝た?」と方言で起こしてくれるサービス。「起きなさい。朝ですよ」と標準語で起こされるよりも、気持ちが柔らかくなり、ほっこりすると評判のようです。


また、関西弁を1コマ漫画で紹介する『かんさい絵ことば辞典』がヒットしたり、「腕ば目ぇがら上さあげて……」で始まる方言ラジオ体操があったり……。

それにしても、方言に触れたいと思う人が増えているのは、なぜなのでしょうか。

子どもの頃から方言を使っていた私にとって、方言はいつも身近にあり、意識したことすらない空気のような存在。それがこんなに注目を集めるなんて、不思議でなりません。



「かつれる」は、単に空腹というよりも“飢餓状態”を思わせるほどひもじい状態を、「うるかす」は「浸す」よりもじっくり水を吸わす状態を表します。

日本全国の方言は大きく分けて16種類

そもそも今、日本にはどれぐらいの方言があるのでしょうか。方言学の祖、明治時代の日本の国語学者である東条操氏によると、文法や発音、アクセントの違いによって分類することで、日本の方言は大きく16に分けられるといいます。

自分の故郷の方言に似ている発音やアクセントが多いと、親近感がわいてきます。これも、16に分けられた同じルーツの方言を持つ者同士だったからなんですね。

何となく、言葉が近いというだけで仲間意識が生まれて心の距離がグッと近づくのも、方言の持つ力なのかもしれません。


方言には、ある感覚を繊細に表現する言葉があります。

私の故郷である福島にも、「うるかす」という方言があり、これは「お米を水にうるかす」などのように使う言葉。

「浸す」に近い意味ですが、単に水の中に入れるだけではなく、じっくりと時間をかけて水を吸わせるようなニュアンスがあります。

その意味を東京出身の友だちに説明するのがとても難しく、歯がゆい思いをしたことを覚えています。



①毎日蒸し暑いですね。疲れました ②休んでいってください ③それでは、少しだけ
④おはようございます。いい天気ですね ⑤そうですね。可愛い犬ですね ⑥ありがとう

方言はふるさとそのもの

日本は狭い国なのに、地域によって方言のバリエーションはとても豊か。故郷から離れて暮らしてみると、心にすっと入り込む方言の持つ力を実感することがあります。

先日、偶然に故郷の方言を話す人と出会いました。その人と話していると、何とも言えない温かい気持ちになり、あっという間に打ち解けたのを憶えています。

また、別の地域の言葉でも、相手が自分の故郷の方言を話していると、生まれ育った故郷はどんなところなのか、とても興味が湧いてきます。

方言には、心の癒しや、人間関係の潤滑油の役割もあるのかもしれません。


私たちは、生まれた土地の文化の中で、ものの考え方や価値観を育み、人格が作られます。その根っこにあるものの一つとして方言があるのではないでしょうか。

方言は、故郷そのもの。だからこそ、方言を聞くだけで温かく懐かしい気持ちになれるんですね。


<2014年 夏号 Vol.25 43-46ページ掲載>



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