2019.05.29

食と栄養

食材保存のコツ ~おいしく、ムダなく食べる~

食材を新鮮なまま長持ちさせるカギは、保存の仕方にあり!正しい保存方法をおさらいしてみましょう。

野菜を保存する

野菜は、自分の中の養分をエネルギーとして消費するので、時間がたつにつれ栄養量や味も落ち、いたみも進みます。それぞれの野菜にあった環境で保存するのが基本です。


■ 常温か冷蔵かをチェック
何でも冷蔵庫の野菜室に入れておけば安心!……ではありません。

野菜には湿気を好むもの・嫌うもの、冷やし過ぎはよくないものなど、それぞれに違うので、個別に保存の工夫が必要です。

じゃがいも、さつまいもなどのいも類は常温保存が基本です。日の当たらない涼しい場所で、むれないよう、新聞紙などに包んで保存。ごぼうなどの泥つき野菜も常温保存です。


■ 切ったあとは冷蔵庫へ
常温保存が基本の野菜も、使い切れずに残ったものは、切り口からいたみます。ラップでしっかり覆い、冷蔵庫の野菜室に。


■ 低温障害に注意
なす、ゴーヤ、トマト、きゅうりなどの夏野菜は寒すぎるのが苦手。色が悪くなったり、味が損なわれたりと、低温障害を起こすことがあります。

冷蔵庫に入れるときは、新聞紙やラップで包み、冷やしすぎに注意が必要。ひと手間が大事です。




干すと、水分が抜けることによりうまみが引き出され、凝縮した味わいが楽しめます。

“干して”保存

太陽と風の力で乾燥させて保存する方法です。大根やしいたけなどは、天日に当てることで、ビタミンやミネラルなど、栄養価がうんとアップすることも見逃せません。


■ 干し野菜のつくり方とポイント
干すのに向いている野菜は、水分が少ないもの。大根、にんじんなどの根菜、なすやきのこ類も手軽に干し野菜にできます。

材料を洗ってよく水気を切り(きのこ類は洗わない)、適当な大きさにカットして、ザルに並べ、出窓など、陽が当たって風の通りのいい場所に干す──、これだけです。

日中の午前9時頃から午後3時頃までがベストタイム。水分がすっかり抜ければできあがり(2~3日かかることもあります)。


■ 電子レンジを使って
切って水気をとった材料をキッチンペーパーに重ならないように広げて乗せ、ラップをかけずに電子レンジに。

加熱時間は材料の種類や分量によって違いますが、数分から10分程度。焦げないように、少しずつ様子を見ながら加熱時間を調整すると失敗しません。

加熱後は、熱が冷めるまでザルに乗せて空気にさらします。


■ 保存の目安
保存はジッパー付きの保存袋やタッパーが便利。完全に水分の抜けた干し野菜は常温で1ヵ月くらい保存できます。湿気防止に、乾燥剤を入れておくと万全ですね。

使うときは水に漬けてもどし、うまみ成分たっぷりのもどし汁ごと料理に使えます。汁物や煮込み料理には、もどさずにそのまま加えてもいいですね。




調味料に漬け込む方法は、旬の食材をいつでもおいしく長い期間食べられるようにした昔ながらの知恵です。

“漬けて”保存

野菜のぬか漬け、味噌漬け、また、酢に漬けたらっきょうなど、漬け物は私たち日本人にはなじみ深いもの。

調味料に漬けることで、保存期間がグッと伸びることを日本人は古くから知っていました。


■ カンタン! 野菜の塩漬け
防腐作用のある塩を使った塩漬けは、簡単にできるのも嬉しいところ。

野菜をざくざくと切り、塩をもみ込んで余分な水分を抜いたのち、保存容器に入れておくだけで出来上がり。ジッパーつき袋を使えば、もみ込みから保存まで、これ一つで完成です。

切りコブや赤唐辛子を一緒に入れると、いっそう風味が増しますよ。酢を少々加えればより長く保存が効きます。冷蔵庫で2週間が目安です。


■ 残り夏野菜でピクルスを
米酢やワインビネガーに、砂糖、塩少々を合わせて加熱。冷めたら広口びんに移し、赤唐辛子、ローリエなどのハーブ類を入れれば、ピクルス液の出来上がり。

これに水気をよくきった野菜を入れます。冷蔵庫で約1ヵ月保存可能です。


■ いろいろ漬けてみよう
他にも、醤油、酒粕、味噌、オイルなどの調味料に漬けてみましょう。漬け込むことで腐敗を防ぎ、保存性を高めてくれます。

なお、長期保存する場合は、漬ける前に容器を消毒しておくこと。カビを防ぎ、安心です。


これから本格的な夏がやってきます。的確な保存方法で、食材を安全に、かつ美味しく長持ちさせましょう。


<2013年 夏号Vol.21 37-40ページ掲載>




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