2020.06.08

薬草のすすめ

明日葉(あしたば) 《薬草のすすめ 第3回》

バランス良く様々な栄養価を含む明日葉は、日本原産のスーパーフードとして注目されています。

明日葉の豊富な栄養とカルコン

明日葉[あしたば]
科目:セリ科シシウド属
採取時期:春先から11月頃まで収穫できるが、特に2月~5月の初夏くらいまでに収穫する葉は柔らかく、薬効も高いと言われる。
採取場所:日本原産の植物で、紀伊半島や房総半島、伊豆諸島、小笠原諸島など関東以西の暖地に自生する。
主な効果:利尿作用、便秘防止、滋養強壮、抗酸化作用など

「今日摘んでも明日新芽が出る」ことからその名が付いたと言われる明日葉は、“日本原産のスーパーフード”“野菜の王様”として注目を集めています。その理由が、豊富な栄養成分。

特に豊富なビタミン類やβカロテンのほかにも、カリウムやマグネシウム、リンや鉄といったミネラル類も豊富で、それらがとてもバランスよく含まれているためです。

また、現代人に不足しがちな食物繊維はレタスのなんと5倍も含まれており、水溶性と不溶性どちらもバランスよく併せ持っています。

さらに、明日葉にしか含まれない特有のポリフェノールであるカルコン、そしてセリ科共通のポリフェノール、クマリンが含まれていることも大きな特徴です。

特に明日葉の茎や葉を切るとにじみ出る黄色い汁カルコンは、茹でると湯が黄色く染まるほど多く含まれ、健康や美容に役立つ様々な働きを持つことから近年様々な分野から注目を集めています。




葉や茎を切るとにじみ出てくるカルコン。根に多く含まれていて、その栄養価の高さと頻繁に収穫できない希少性から根は貴重なものとして扱われています。

明日葉の産地と旬

日本原産の明日葉の主な産地は、八丈島を始めとした伊豆半島や房総半島などの暖地です。海のそばに自生することも特徴のひとつで、他の植物は海水を含んだ嵐や塩害で枯れるなか、明日葉はたくましく育ちます。

原産地のひとつである八丈島には、明日葉にまつわる様々な伝説や文化が今も残されています。

その一つが秦の始皇帝が「東方に不老長寿の薬草がある」と使者を送ったという言い伝え。この薬草が明日葉だったと言われていて、昔から健康に役立つ野菜として重宝されていたことが分かります。




王道の「明日葉の天ぷら」は適度に風味を残しながら誰もが食べやすい味に。原産地の八丈島でも人気のメニューです。

明日葉レシピ 「風味抜群!明日葉の天ぷら」

セリ科独特の爽やかな苦味や風味が特徴の明日葉。食べにくいと感じる人も多いこの特徴も、調理次第でぐっと和らげることができます。明日葉は油と相性抜群で、揚げたり炒めたりすると苦味が柔らかくなり誰でも食べやすい味に。

《材料》
・明日葉 10~20枚
・小麦粉 1/2カップ(米粉を使うとよりサクッと揚がります)
・水 1/2カップ
・揚げ油 適量

《作り方》
(1)小麦粉と水を、粉が少し残る程度にざっくりと混ぜ合わせる。
(2)180℃程度に油を熱する。
(3)明日葉の片面に(1)の衣をつけ、からりと揚げる。
(4)塩や梅肉、めんつゆなどお好みのものを添えて出来上がり。

油で揚げる以外にも、茹でた後に水で一度締めると独特の風味が和らぎます。

栄養たっぷりの明日葉を、まるごとぜいたくに。スーパーなどで見かけた際はぜひ試してみてはいかがでしょうか。




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